第5回かがわ・山なみ芸術祭 閉会のご挨拶
令和4年5月21日(土)〜11月13日(日)の会期において開催されました第5回かがわ・山なみ芸術祭2022は、大きなトラブルもなく盛況のうちに閉会いたしました。まず、この芸術祭に関わった全ての皆様に代表者として厚く御礼を申し上げます。
芸術祭は参加アーティストが主役ではありますが、ウリボウズさんをはじめとするボランティアスタッフの皆様、地域アーティストの皆様、開催エリアの地域住民の皆様のけして簡単ではない尽力がなければ芸術祭は成立せず、またアーティストと一体となった協力がなければ、芸術祭は、つつがなく執り行うことはできません。また多大な援助をいただいた外部の協賛企業の皆様には、芸術祭実行委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
テーマ「萌出」は、生きる者全てのテーマであり、あらゆるヒエラルキーやカテゴリーから解放される価値観を、私たち一人一人が見出すための実験の一つでもありました。2018年「新原点」、2020年「解放」と積み上げてきたテーマは、今回の「萌出」をもって、一つの方向性を見出すものだったと思います。このようなパブリックな空間で開催されるイベント評価については、経済効果や入場人数だけでは測りきれないれないことを「かがわ・山なみ芸術祭」は改めて思い起こさせてくれました。また、会期中も様々な体験、貴重なご意見を多数いただきました、関係者皆様のご意見をいただきながら芸術祭実行委員会において検証作業を進めて参りたいと考えております。
さて、次回の第6回の芸術祭ですが、これまで2年間隔の開催としてまいりましたが、今後は3年後の開催を思案中です。今後の計画を公表するには、今少しの時間が必要かと思われます。山の芸術祭で皆様に再びお目にかかれることを祈念して閉会の挨拶とさせていだだきます。
※さぬきこどもの国で開催中の関連事業「さぬきこどもの国プチ芸術祭」は2023年3月末まで開催中となっております。引き続きご支援お願いいたします。
かがわ・山なみ芸術祭2022
実行委員長 倉石文雄
「萌出(もえいづる)」
志貴皇子(しきのみこ)。今回のテーマ「萌出(もえいづる)」である。
人の中から思わず萌でたアートは美しい。人の本質が、かいま見える時である。そして人は、個々の個性が異なるからこそ、理解し合うために向かい合うことに価値があり、コミュニティーの基点としても無限の可能性を見出せると考えている。かがわ・山なみ芸術祭は、このような「アートシーン」を提供したいと考えており、そこから生まれる「もの」、「こと」の「萌出」を、この「場」に集まった人と共に共感し体験を重ねていきたいと考えている。
ご想像の通り、アートの世界は一見、自由奔放な世界に見えるが、実際は自由は稀有なもので、そう見えるだけで、本当に自由なアーティストなど、私はこれまでほとんど見たことがない。むしろインフェリオリティリー・コンプレックス(劣等感)渦巻く世界であり、容姿,体力,知的能力,学歴、性格,血筋,財産,社会的地位等々、つまり、対社会、対人間、そして対自己に関して、被害者となり加害者にもなって、底無し沼のような世界に沈んでいるのである。
思わず溢れ出たアートは尊い。このような「萌出」を、腐った土壌に置けない。尊い表現が「萌いづる」に相応しい「場」になることを模索しているのである。
かがわ・山なみ芸術祭 2022 AYAGAWA
実行委員長 倉石文雄
※参考資料
「萌出」について / 万葉集「石走る垂水の上のさわらびの毛要出(萌いづる)春になりにけるかも」 志貴皇子(しきのみこ)は天智天皇の7番目の王子で、皇位を争うことなく、生涯文化人であった、歌人として万葉集に繊細で美しい和歌を残している。現在の皇室は志貴皇子の直系である。
※コロナ感染症等のやむを得ない事情により、本企画が中止されることや企画内容が変更される場合があります。
※室内鑑賞の際、スリッパご持参マスク着用お願いします。
「かがわ・山なみ芸術祭」は、アーティストと地域住民が共同して芸術祭を企画運営し、地域の持つ歴史や地理的由来とアーティストの個性や独創性を有機的に融合させ、芸術文化の力で、新たな地域文化の創造と地域力を創出し、アーティストと地域の、両者の活性化につなげることに寄与していく。さらに、アーティスト・地域住民・行政が三見一体となった芸術祭を実現し、それぞれの視点から、話し合いを重ねることで「ものづくり」・「ことづくり」の新たな文化創出の場の形成を目的とする。