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Kagawa Yamanami Art Festival
2025
つむぐ
このまちが好きだから。

綾川エリア
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第6回かがわ・山なみ芸術祭2025

2025年10月25日(土)〜2025年11月16日(日)

開催にあたって共同代表からのメッセージ

私たち共同代表は、 芸術、人、自然を紡ぎ山なみ芸術祭が素晴らしいものになる様努めてまいります。 私たちは芸術家ではありません。 地域住民です。 至らない点も多々あると思います。 皆様のご協力をいただきながら、 一緒に盛り上げて行きましょう。

共同代表

井手上あや子 / 井手上美智子 / 森本ゆう子

開催概要

名称第6回かがわ・山なみ芸術祭 2025
テーマ「つむぐ - このまちが好きだから -
会期2025年10月25日(土) 〜 11月16日(日)
会場モノハウス、その周辺(綾川町内)
主催かがわ・山なみ芸術祭 2025 実行委員会
共催綾川町、さぬきこどもの国
協力山なみクラブ
後援 香川県(予定)

かがわ・山なみ芸術祭の経緯と
可能性について

「第6回 かがわ・山なみ芸術祭2025」
アートディレクター・キュレーター 倉石文雄

「第6回かがわ・山なみ芸術祭2025」は芸術祭の中心にアートの専門家を置かない非常に稀有な判断を行った。 そこには「表現する者の自由」と「地域の活性化を願う地域コミュニティー」の切なる願いと努力の積み重ねがある。

一般的にはアーティストといえば何事にも囚われず自由を謳歌している代表的な人種と思われているが、私を含め実際そんなアーティストをほとんど見たことはない。 現実は様々な柵に囚われ、他者からの評価や比較に心を痛め、ピラミッドの上へ上へと登ることに時間を費やして疲弊し、不自由な生き様を晒している人種と認識している。 我々は時に忘れがちだが、そんなことに時間を費やすのであれば、自分と向き合って表現することに気持ちを費やすべきなのである。 立体であろうが平面であろうが、何より自己を表現することこそ至難の業で一番難しい、そこを思い返さなくてはいけないのである。 倉石は「かがわ・山なみ芸術祭」の1回目から5回目までの実行委員長を務め、当該芸術祭の企画運営に携わってきたが、まずそこが念頭にあった。

一方地方の中山間地域においては戦後の高度成長期を経て社会構造は変化し、都会と地方の格差は開く中で、地域コミュニティーは伝統の継承も含め、様々な工夫を行うが、時の流れのように過疎は進み、不耕作地、空き家は増える一方である。 綾川町枌所地区においてもその例に漏れることはなかったが、喫茶リーフの森本夫妻の20年にわたる地域活性化の活動は、徐々に住民に広がりを見せ、異文化を受け入れる感受性は浸透し「山なみクラブ」として形になりつつあった。

「かがわ・山なみ芸術祭」は、1993年アーティストの自由な表現の場の創出を目的として設立された現代美術の総合展「実験展」を起点としている。 つまり俗な表現の世界から離れ、自分のための自由な表現の場を作ろうと「場」を探し、仲間に声をかけ、埼玉県立近代美術館で活動を始めたのが「実験展」の第一歩である。 その後倉石が香川に拠点を移し、閉校した旧枌所小学校を借り上げNPOを設立、アート活動の拠点としたことから活動の場が香川に移った。 活動が軌道に乗ると活動の幅は広がり、2010年綾川町田万ダムの周回道路を会場として野外展、第19回実験展「アート・トレッキング in SOGISYO」を開催。 NPOの仲間と共に初の全国規模の公募展を企画運営することになった。 この時にNPO活動と地域コミュニティーとの可能性と関係性を強く感じ、アーティストが自由な表現の場を考えた際は、地元のコミュニティーの理解や関心と協力、活性度などがダイレクトにアート活動に反映されてくるということにNPO側が気づいた。 そして、2013年高松市、綾川町、まんのう町、三豊市の2市2町、5エリアの中山間地域で「第1回かがわ・山なみ芸術祭2013」を開催するに至ったのである。 2016年は高松市、綾川町、まんのう町、三豊市、観音寺市の3市2町7エリアで「第2回かがわ・山なみ芸術祭」を開催、来場者は12万人となり大規模芸術祭になった。 しかし、ここでこれまで貫かれてきた「実験展」精神の薄まりを問題視する検証があり、2018年に芸術祭をリニューアル、開催年の間隔を2年に狭めるともに、開催エリアを綾川町に絞り、ファインアートとアートクラフトフェアを連携した「かがわ・山なみ芸術祭2018 AYAGAWA」を開催した。 2020年はコロナ禍での開催となり規模を縮小、ネットなどを中心に開催、コロナ対策を万全に行いながらの開催となった。 2022年はコロナも終息しかけたところで通常開催となったが、町からの依頼により旧綾上地区の4つの公民館をエリアとした。

現在日本中で芸術祭が開催されるようになったが、企画運営の中心は、アートの専門家であろう。 しかし、企 画運営をしながら気がついたのだが、芸術祭の目的がアーティストの自由な表現の場の創出と地域の活性化 であるとすれば、その目的の実現のためにアートの専門家が芸術祭の運営の中心である必要があるか、とい うことは、詳細に議論を重ねるべきである。 もともと倉石は、評論家などから離れるための「場」を考えたし、 「実験展」発足当時は地域活性化の専門家でもない、当該の地域に特に詳しいわけでもない。 また、地元は 「山なみクラブ」も活動を始め、地域のコミュニティー活動も固まりつつあった。 芸術祭の実行委員会の中 心、あるいは中心に近いところに地域の代表者がいないことは、目的に対する整合性が取れないことは明ら かである。

かがわ・山なみ芸術祭の本拠である綾川町枌所地区において、特に2010年のアートトレッキングの開催時点から地域住民の柔軟な感性が顕著で異文化を受け入れる体制が柔軟、ボランティア活動も多様で献身的だった。 さらに2016年第2回かがわ・山なみ芸術祭の開催時には、アーティストに混じって地元住民が自ら作品を制作し、アーティストや実行委員会を驚かせた。 中でも数点の作品は現代美術の文脈を感覚的に受容していると思われ、その傾向は現在も続いている。 また、私たちアーティストは期限や締め切りを目指して制作することが多いが、綾川町枌所地区の「山なみクラブ」の一部住民は表現することが日常となっており、期限や締め切りに左右されない表現活動を行っている。 この件に関しては専門家であるアーティスト達も大いに学ぶべきと考える。 それらを受けて、2020年から地域住民を実行委員会に迎えて直接意見を芸術祭に反映させる判断をし、実行委員会の半数は地域住民となった。 2022年には実行委員会の地域住民の占める割合は三分の二となり芸術祭は地域でより展開しやすくなった。

アーティストは自由に表現発表できれば良い。地域住民は地域の活性化を目指すのであれば芸術祭はアーティストの特権的な位置で行われるよりも、地域の季節ごとに開催される地域の祭りとして根付いたほうが自然であり可能性もあるのではないか。 この時点で既にアーティストが実行委員長である必要はなく「第6回目かがわ・山なみ芸術祭2025」の実行委員長は地域住民である井手上あや子・井手上美智子・森本ゆうこの3名による共同代表となった。 地元コミュニティーのおばちゃん達が代表となり「地元の祭」として芸術祭を企画運営する。 何が起こるかわからない。それがこの芸術祭の最大の可能性となった。